依存症について
ギャンブル依存症
途中で辞めるとイライラする、負けると次の日に取り返そうとする、ギャンブルのために嘘をついた、仕事や人間関係に問題が生じた、借金返済のためにお金を借りる、このような症状があればギャンブル依存症かもしれません。

全国に生涯でギャンブル依存症が疑われる方は320万人いると言われており、男性の6.7%、女性の0.6%と推計されています。しかしこのうち病院で診断を受け、治療を受けている方は4000人以下とされており、ギャンブル依存症は借金の問題であって病気と捉えられていない側面があります。

アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5ではギャンブル障害(依存症)を以下のように規定しています。
1.賭け金を増やす
2.ギャンブルを中断するかやめるとイライラする
3.ギャンブルをやめようと思ってもやめられない
4.ギャンブルに心が奪われている
5.嫌な気分をギャンブルで晴らそうとする
6.ギャンブルで失ったお金を取り返そうとする
7.ギャンブルののめり込みを隠そうと嘘をつく
8.ギャンブルのために人間関係や仕事や教育機会を失った
9.借金がある

ギャンブル依存もアルコール依存や他の依存と同じように脳内報酬系の異常が原因の一つと考えられています。ギャンブルをすることで脳内で過剰なドパミンの放出がおき、繰り返しギャンブルをしてしまうのです。ギャンブルへののめり込みが強くなると脳の機能異常によって少々負けたくらいでは脳の反応が乏しくなってしまい、ハイリスクハイリターンを求めるようになってしまいます。さらに前頭前野の働きが低下することでギャンブル以外への興味関心がなくなってしまうこともギャンブルへののめり込みを助長してしまう要因です。

ギャンブル依存症への特効薬はありません。認知行動療法や自助グループへの参加や家族のサポートなどが行われます。しかし、残念ながらギャンブル依存症は再燃(スリップ)してしまうことも特徴です。スリップしてしまう理由は様々です。「もうちょっとくらいやっても大丈夫だろう」という病気に対する認識の甘さ以外にも、ギャンブル以外の興味がないことでふとした時間を有効に使えずにギャンブルしてしまう、借金問題を早期に解決したいとの思いから再びギャンブルに手を出してしまうという方もおられます。

当院では外来治療、入院治療、GAを含めた自助グループへの参加支援、公的機関との連携などを図りながらギャンブル依存からの回復をサポートしています。